不動産に投資をしていくうえで、物件購入の際に投資家が必ず気にするのが「利回り」です。
しかし、不動産投資や不動産業界に対して経験の浅い方は
利回りの基本的な知識はあっても【ネット利回り】や【グロス利回り】などの専門用語が出た場合に、
理解できていない人がいるかもしれません。
そこで今回は、知っておいて損はない各利回りとその意味について、ざっくり解説してみます。
グロス(表面利回り)
グロス(表面利回り)とは年間で得られる家賃収入の額を、
物件の購入価格で割り戻した数字を「表面利回り」と呼びます。
これを英語では【グロス(Gross)】といいます。
投資物件を探す時の最初の目安となるもので多くの不動産屋さんの場合、
この表面利回りの基準値を決めて物件を絞りこみます。
なお、表面利回りには、物件の維持費や管理費などのコストが一切含まれていません。
表面利回りは、次の式で計算できます。
「年間の家賃収入÷物件の購入価格×100」
例えば、
(1) 物件価格3,000万円、年間の家賃収入350万円のアパート
(2) 物件価格12,000万円、年間の家賃収入1,100万円のアパート
この2つの物件を表面利回りで比較した場合、
(1) 350÷3,000×100=11.67(%)
(2) 1,100÷12,000×100=9.17(%)
となるため、この場合は(1)のアパートの方が、表面利回りは高いということになります。
ネット(実質利回り)
不動産投資では、家賃収入だけでなく、修繕費や水道・光熱費、固定資産税などの費用も考慮しておく必要があります。
年間の家賃収入から諸経費を引いて計算した利回りは「実質利回り」と呼ばれます。
これを英語では【ネット(NET)】といいます。
グロス(表面利回り)とは異なり、経費を差し引いてどれくらいの金額が手元に残るのかを示すのが実質利回りです。
実質利回りは、次の式で計算できます。
「(年間の家賃収入−年間の支出)÷物件の購入価格×100」
先ほどの事例を使って比較してみましょう。
(1) 物件価格3,000万円、年間の家賃収入350万円、表面利回り11.67%のアパート
(2) 物件価格12,000万円、年間の家賃収入1,100万円、表面利回り8.33%のアパート
この2つの物件の諸経費が年間100万円だったとすると、
(1) (350−100)÷3,000×100=8.33(%)
(2) (1,000−100)÷12,000×100=8.33(%)
となり、(1)と(2)の物件の実質利回りは同じになります。
当然、新築・中古の違いや場所や設備などで実際の経費はかなり違いがあります。
(まずはここの経費は中古なら不動産屋さん又は売主さん、新築なら建築屋さんに教えてもらいましょう)
※あくまでも現状の家賃収入で満室想定を元に計算している利回りです。
NOI(営業純利益)
例えば一棟アパートを購入した場合、
当初の家賃設定で満室が続けば問題ありませんが、
場合によって満室にはならず空室が続く可能性があります。
その間は家賃が入らないため、満室時とは得られる家賃収入の額が変わってきます。
このように、空室時に出る損失などを差し引いたものが「想定利回り」です。
これは営業純利益(Net Operating Income)の頭文字を取って【NOI】とも呼びます。
想定利回りは、次の式で計算できます。
「空室リスクなどを差し引いた年間の家賃収入(想定)÷物件の購入価格×100」
例えば、
3,000万円で全6室(単身向け)の一棟アパートを購入したとして
家賃を4万円に設定し、満室が続けば年間で288万円の家賃収入が得られます。
この場合の想定利回りは、
288÷3,000×100=9.6(%)
となります。
しかし、そのうちの1部屋が1年間空室になってしまうと、家賃収入は年間240万円になります。
この場合の想定利回りは、
240÷3,000×100=8(%)
となります。
また、当初設定していた家賃では誰も入居せずに、
家賃を下げなければならなくなる可能性もあります。
空室があり、しかも家賃を下げることになると、実際の利回りはこの想定利回りよりもさらに下がることになります。
不動産投資の平均利回りは「新築なのか、中古なのか」「中心地なのか、郊外なのか」といった条件だけではなく、設備などでも大きく変わります。
もちろん、利回りが高い物件がいいのですが、グロス(表面利回り)だけを見て、「利回りが高いからいい物件だ」と安易に購入するのはキケンです。
実際に購入してみると修繕費がかさんだり空室が続いたりして、トータルで損失が出てしまい高利回りにならないこともあります。
不動産投資で安定した収益を得るためには、
「経費は年間どれくらいか」「空室リスクはどれくらいか」「家賃設定は適正か」なども考えておく必要があるのです。
そのためにはネットやNOIが重要な指標となります。
言葉の意味も含めて、きちんと理解しておきましょう。
もしあなたに、ここの査定と実際の数字がずれない&NOIを上げてくれる不動産屋さんが近くにいるなら、その方はあなたにとって必要なビジネスパートナーです。